「人間力を養うには何が必要か」
誰しも知りたいこの問いに、正面から対応したメッセージがある。
人間学を学ぶ月刊誌『致知』9月号の「第54回 仕事と人生に生かすドラッカーの教え」(ドラッカー学会共同代表理事・佐藤等氏)の原稿に、以下の記載がある。
佐藤氏は、渋沢栄一翁の著作『論語と算盤』に「富を造るという一面には、常に社会的恩誼ある思い、道徳上の義務として社会に尽すことを忘れてはならぬ」の一文があることに触れ、こう述べる。
『論語と算盤』にあるこの言葉は、第一次世界大戦による好景気で一夜にして富を手にする者(成金)が続出し、これを羨むような世情に警鐘を鳴らしたものです。富は目的ではなく、手段にすぎません。徳の道を歩き、人間力を養い、社会正義を実践していくことが肝要だと栄一翁は教えたのです。現代に通じる本質的な教えです。
そして、冒頭の問い「人間力を養うには何が必要か」である。
この深淵なテーマに対する簡明な答えがここにある。
(少し長くなるが、重要だと思うので全て記載する)
根本になくてはならないものは憤の一字である。物事に出会い、人物に出会い、発憤し、感激し、自己の理想に向かって向上心を燃やしていく。
そういうものを根本に持っていない人に人間力はついてこない。
次に大事なものは志である。夢といってもいい。いかなる志、夢を持っているか。その内容が人間力の厚薄重軽を決める。
第三は与えられた場で全力を尽くすこと。人生の経験をなめ尽くすことといってもいい。第四はその一貫持続であり、第五はすぐれた古今の人物に学ぶことである。すぐれた人の生き方に学ぼうとしない人に人間的成長はない。そして最後に大事なのは素直な心だろう。
我々は自分一人で人間的に成長することはできないが、それでも成長の核になるのは自分自身の志だと思う。
先人に学び、自分自身を律し、素直に、柔軟に社会を見つめ、社会正義を実現する人間を目指して日々精進したいものである。
そのための発憤材料は世の中にいくらでもあるし、高い志を持てば、学ぶべき先人にも事欠かないと思われるので、後は自分次第だ。
是非頑張りたいものである。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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