4月、新年度の始まりにあたり、理念経営の根幹を考えてみたい。経営理念の存在が企業経営者や社員にどのような影響を及ぼすのか。
弊社は経営理念の前提として以下の文を掲げている。
「我々は、判断基準を目先の損得ではなく本質的な善悪に置くべきである。」
その意味するところは、経営とは、損得も重要であるが、損得以外にも重要な事がある。
私は、そのことの方がより重要ではないかと思っている。「利他の心」にも通じる、世の中・社会をよくする働きが事業であり、本来経営として取り組むべきことではないだろうか。
「先義後利(せんぎこうり)」という言葉がある。
「『先義後利』とは中国の古典『四書』の一つ『孟子』の中にある『義を先んじて、利を後にする』、すなわち『国をおさめる上で何よりも大切なことは、目先の利益ではなく、仁義、すなわち社会の原理、原則である道義、道徳』である」という教えである。
企業経営において、利益なくして経営の継続性は得られないことは当然のこととして、それでもなお、先義後利にこだわるのは、「事業経営とは何のためにあるのか」ということを突きつめて考えるからである。
弊社はそれを経営理念の前提として記すことで共有している。
事業経営を通して、社会課題の解決、顧客の困りごとの解決、社会の真の豊かさ実現、顧客満足度の向上等を図るための仲間として経営理念に共鳴・共感する社員を募り、社員を育成し、社員の成長とともに企業も成長し、さらに大きな課題解決に取り組む、真の豊かさを広げていく、という好循環を繰り返していく。
経営理念が存在することで、経営が好調な時、苦境に立った時にもブレることなく、本来やるべきことに集中できる。もちろん、苦境の時には経営の見直し、事業の根幹を見直すことは必要であるが、その時でも「何のために経営するのか」という原理・原則は見失うことがないようにすべきである。
社会構造が複雑化・高度化している現代こそ、事業経営活動を通して全社員の叡智を結集し、その社会構造の難題を紐解き、一般市民が幸せな社会活動・生活ができるように貢献していくことを志すべきではないだろうか。
経営者が「高い志」を持ち、社員がその志に共鳴・共感し、協働してその「高い志」達成のために取り組むことでお互いが成長していく。そのような経営を志向したいものである。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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