創業後、10年後の会社の生存率は6.3%という、驚くようなデータがある。
現在は、創業時に経営理念を作成させるような経営塾があったり、金融機関からの融資を受ける事業計画にも経営理念の明記などが求められたりする時代となっている。
真剣に考えた経営理念、立派な経営理念を掲げてスタートした企業経営のはずが、なぜ短命に終わるのだろうか。
10数年前に、日本経済新聞の社説で、「経営理念を忘れた企業に明日はない」という記事が掲載されていた。
立派な経営理念を掲げても、実践していない(忘れている)企業は、生き残ることが厳しいことを物語っているのではないだろうか?
HR総合調査研究社の調査によると、98%の企業が、経営理念の浸透の必要性を感じている(「社員への理念浸透は必要である(85%)」「ややそう思う(13%)」)。しかし「自社の理念が社員に浸透している」と考えている企業は「浸透している(6%)」「ややそう思う(36%)」の計42%しかない。
「あまり浸透していない(40%)」「浸透していない(13%)」計53%が経営理念は浸透していない、と回答している。
何故、経営理念は社員に浸透しないのだろか?
月刊誌「致知」5月号で、菓子製造小売業として国内最大規模を誇る「シャトレーゼホールディングス」会長の斎藤寛氏は次のように述べている。
―――社是を浸透させるために心懸けている事はありますか?
―集合教育でいくらトップが喋ってもダメで、朝礼で唱和してもそれだけじゃダメで、こ
ういう社是とか理念っていうのはどうしても言葉だけになっちゃうんですよ。社員が実践
し、問題解決に生かしていくためには、仕事の中で直に教えるしかないと思います。
何か判断する時や新しいアイデアが出た時には、「これは誰が一番得するんだ」「これ
はお客様のためになるのか」ということを常に僕が問いかけて、社員に考えさせるように
しています。やっぱり仕事の中で、これをやるとお客様が喜んでくださるということが実
感できると仕事が楽しくなるわけですよ。・・・・(略)この「三喜経営」(社是)をき
ちっと理解して仕事をしている人は、学歴とか能力の差に関係なく伸びていきますね。こ
れは長年、数多くの社員を育ててきた僕の実感です。―
いかに社員に経営理念を浸透させるか、は経営者の最大の悩みだと思うが、私は理念が社員に浸透すると経営は確実に成長すると確信している。
そして理念浸透には経営者の確固たる信念と社員に対する熱い想いが必須だと思う。
是非、自社成長の礎としての経営理念を全社員に浸透させるべく経営者が率先垂範して取り組んでいただきたい。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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