前回の「人間力向上⑧」で一流になるための条件は難しくない旨のコラムを書いたが、分子生物学者の福岡伸一氏が次のようなコラムを書いている。(少し長いが、そのまま掲載する)
「10000時間」(コラム)
こんな調査がある。スポーツ、芸術、技能、どうのような分野でもよい。圧倒的な力量を誇示するプロフェッショナルというものが存在する世界がある。そんじょそこらのアマチュアなど全くよせつけないプロフェッショナルたち。そのような人たちがいかにして形成されたのか。それを調査したものである。
世界的コンクールで優勝するピアニスト、囲碁や将棋の名人たち、トップアスリート。彼ら彼女らについて、ふつう私たちは半ばため息をつきつつ、次のように感じている。あのような人たちは天賦の才能の持ち主なのだ。われわれ凡人とはそもそもの出来が全く異なるのだと。
ところがプロフェッショナルたちの多くは皆、ある特殊な時間を共有しているのである。10000時間。いずれの世界でも彼ら彼女らは幼少時を起点として少なくとも10000時間、例外なくそのことだけに集中し専心したゆまぬ努力をしているのだ。10000時間といえば、一日3時間練習をしたりレッスンを受けるとして、一年に1000時間、それを10年にわたってやすまず継続するということである。その上に初めてプロフェッショナルが成り立つ。
DNAの中には、ピアニストの遺伝子も将棋の遺伝子も存在してはいない。DNAには人を生かすための仕組みが書かれているが、いかに活かすかについては一切記憶はない。プロの子弟はしばしば同じ道を進むことが多く、それは一見、遺伝のように見える。けれどもおそらくそうではない。親はDNAではなく環境を与えているのだ。やはり氏より育ち。DNA研究者の偽らざる感慨である。
私たちビジネスの世界をみると、その世界で10年間、真剣に、一生懸命頑張っている人は、ある時期やはり頭角を現すことが多いのではないだろうか。(ビジネスの場合ははじめるのが、幼少期ではなく、大人になってからの人が大半であり、成果が上がるのが遅くなるのでは?)
何事にも苦節10年(10000時間:毎日3時間、そのことだけに専心する時間をもつ)、自己鍛錬:自身を磨き続ければ一角の人間に成長する(一流の人間になれる)ことができると期待をもって取り組みたいものである。
3年後、5年後、10年後の自分に期待し、真剣に取り組もう!!
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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