「一筋を貫く」ために、変わり続ける。マブチモーター(株)の大越博雄代表取締役は語っている。
経営理念は変えてはいけないものだと誤解を受けやすいが、「変えてはいけないもの」と「変えるべきもの、変えた方が良いもの」をしっかり判別し、徹底することだと思う。
先のマブチモーター(株)は玩具用モーターの開発から始まり、音響用、自動車用へと用途を柔軟にシフトしてきた。どんな時代であろうと利益を出す確固たる経営基盤をつくり、68年にもわたって経営黒字を続けている。(『理念と経営』9月号より。また、同対談の中で次のように語っている)
―(株)シナ・コーポレーション代表取締役・遠藤氏:
「ぶれない」経営を貫く一方、御社は時代に応じて柔軟に変化してこられた。例えば、かつて主力だった玩具用モーターもいまはほとんど生産していません。また、1990年代には音響・映像用(CDプレーヤーなど)モーターが五割を占めていたのに、いまや自動車用品モーターがメインです。いわば「ぶれないために変わり続けてきた」のが御社の歩みと言えそうです。
―マブチモーター(株)代表取締役会長CEO・大越氏:
おっしゃる通りです。時代に応じて環境はどんどん変わっていくわけで、変化に対応しないでいるとガラパゴス化して滅びてしまいます。小型モーター一筋を貫くには、それ以外の面で変わり続けないといけません。私が経営者としていちばんに注力してきたのも、大きなリスクを避けるために先手先手で手を打つことです。
経営とは環境適応業とも言われるが、その中で「大事にすべきもの、守っていくべきもの」をしっかり見極め、他は柔軟に、大胆に変わって対応していくことの重要性を示していると言える。
アフターコロナの経営環境は、予測が難しいくらい変化していくであろう。
しかし、経営者はその中にあって、自社の「本質:変えてはいけないもの」を見極めつつ、他は大胆に環境に適応していく柔軟性を発揮してほしいと願う。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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