「企業は人なり」・・・特段の目新しさも無く、言い古された言葉である。
又、誰もが「そうだな!」とうなずく言葉であるが、企業現場へ行くとこの言葉ほど、理想と現実のギャップを感じさせる言葉もない。
私は仕事柄、数多くの経営者に会い、経営全般・財務・マーケティング・人事、等々様々な分野にわたるヒアリングや意見交換を行う。その中でも、人材に関する話題は事欠かない。
常に、産業界にあって人材は最重要経営資源なのである。
その認識の下、経営者に対して「御社の欲しい人材は確保できていますか?」と尋ねると、回答は概ね次の二つのパターンになる。
「うちみたいな中小(零細)企業に本当に良い人が集まってくれて助かっています。」
又は
「うちみたいな中小(零細)企業に良い人なんかきませんよ」
と。何故、この違いが出るのだろうか?
おそらく人材の大切さは全ての経営者が頭では判っているが、自ら育てることの大切さ、取り組まなければならないことの重要さをどれ程真剣に受け止めて、実践するかどうかに尽きる。
人を育て活かすことなしに企業の発展はありえない事も判っている。
経営の神様と云われた故・松下幸之助氏は「松下電器は何を作っている会社かと尋ねられたら、人を作っていると答えなさい」と教えたと云われている。自信を持ってそう言いきれる経営者がどのくらいいるだろうか。
「頑張る経営者はお金を残す。良い経営者は事業を残す。一流の経営者は人材を残す」という言葉があるが、経営者として自分の想い・ビジョンを受け継ぐ後継者・人材を育てることはこのうえない喜びであろう。
「人材は育つものか、育てるものか」、という実業界においては永遠のテーマがあるが、私は「育つ意思のある人を、育つ環境で育てる」ことが望ましいと思う。
そのためには、経営者自らが襟をただし会社の有りようをしっかり考え、会社に対する影響力を正しく認識(経営者は絶大な権限を持っている)し、優れた教育者としての力を発揮することが求められる。その結果良い会社の構築、人材の育成が可能となる。
国民教育者の師父・森信三先生は
「教育とは、流れる水に文字を書くごとくはかない業である。だがそれを岩壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ。」
と言っている。
「経営者は優れた教育者たれ!」である。
そして経営者の「格」によって企業の「格」が決まる。
人格を磨き続けよう!!
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明